生鮮スーパーの在庫を数量管理|POSレジと連携して監査対応【6店舗展開向け】

「金額ベースの在庫管理では不十分です。数量でも日次管理してください」
監査法人からこの指摘を受けたとき、多くのスーパーマーケット経営者は頭を抱えます。なぜなら、生鮮食品の在庫管理は、一般的な商品管理とはまったく異なる難しさがあるからです。
青果は箱単位やキロ単位で入荷し、店頭では個数やグラム単位で販売される。鮮魚は一尾で仕入れて切り身で販売される。精肉は量り売りとパック販売が混在する。惣菜やベーカリーは店内で加工されて数が変動する。
こうした複雑な商流を持つ生鮮食品を、どうやって「数量ベース」で日次管理すればよいのでしょうか。本記事では、6店舗を展開する生鮮スーパーを想定し、現実的で実効性のある在庫管理システムの構築方法を解説します。
なぜ今、監査法人は「数量管理」を求めるのか
従来、多くのスーパーマーケットは在庫を「金額ベース」で管理してきました。月次の棚卸しで在庫額を確定し、売上原価を計算する。これで会計上は問題ありませんでした。
しかし、近年の会計基準では「適切な在庫評価」がより厳格に求められるようになっています。特に以下の観点から、数量管理の重要性が増しています。
金額だけでは実在性が確認できない。帳簿上は在庫があっても、実際には廃棄済みや紛失している可能性があります。数量で管理することで、物理的な実在性を担保できます。
ロス率の正確な把握ができない。生鮮食品では廃棄ロスが避けられませんが、金額管理だけでは「いつ、何が、どれだけ」廃棄されたかが不明確です。数量管理により、カテゴリー別・店舗別のロス率を正確に分析できます。
発注精度の向上につながる。過去の販売数量データがあれば、需要予測の精度が上がります。結果的に廃棄ロスの削減と機会損失の防止が可能になります。
内部統制の強化になる。数量ベースの日次管理により、不正や横流しを早期発見できます。監査法人が求めるのは、この内部統制機能です。
生鮮食品の在庫管理、3つの根本的な難しさ
スーパーマーケットの生鮮在庫管理が難しい理由は、大きく3つあります。
まず、入荷単位と販売単位が異なることです。青果は箱やケースで仕入れますが、店頭では個数で販売します。鮮魚は一尾やブロックで入荷し、切り身やサクで販売します。精肉もキロ単位の仕入れを、グラム単位のパックで販売します。この「単位の変換」をシステムで処理する必要があります。
次に、JANコードがない商品が多いことです。パッケージ商品と異なり、生鮮食品の多くは標準的な商品コードを持ちません。店舗独自のPLU(Price Look Up)コードで管理しているため、POSレジとの連携が複雑になります。
そして、日々の変動が激しいことです。生鮮食品は鮮度劣化、調理加工、試食提供、廃棄など、様々な理由で在庫が増減します。これらすべてをリアルタイムに記録することは現実的ではありません。
実務で回る在庫管理の基本設計
理想論ではなく、実際に運用可能な在庫管理システムを設計するには、現場の実態に即した「妥協点」を見つける必要があります。
完璧を目指さないことが重要です。すべての商品を、すべてのタイミングで、完璧に記録しようとすると、現場の負担が大きすぎて破綻します。監査法人が求めているのは「合理的な範囲での管理」です。
管理対象を絞り込みます。全SKUを同じ精度で管理する必要はありません。回転率の高い主力商品、高額商品、ロス率の高い商品など、重点管理すべき商品を選定します。
単位換算のルールを標準化します。箱入り何個、キロあたり何個といった換算係数を商品マスタに登録し、入荷時に自動計算できるようにします。一定の誤差は許容範囲として受け入れます。
POSレジとの連携は日次バッチで十分です。リアルタイム連携は理想ですが、システム負荷とコストが高くなります。1日1回の突合で、実務上は問題ありません。
入荷単位から管理数量への換算、具体的な方法
生鮮食品の在庫管理で最大の難関が、この「単位換算」です。具体的にどう処理すればよいのでしょうか。
青果の場合を考えてみます。たとえばレタスを1箱10個入りで仕入れた場合、商品マスタに「入荷単位:箱、換算係数:10個/箱」と登録しておけば、入荷処理で「3箱」と入力すると自動的に「30個」と記録されます。
キロ単位の商品はどうでしょうか。たとえばトマトを1箱5キロで仕入れ、店頭では1個150グラムで販売する場合、換算係数を「33個/箱」(5000g÷150g)と設定します。実際には大小があるため、定期的に実測して係数を補正します。
鮮魚や精肉の場合はより複雑です。一尾やブロックで仕入れたものを、複数の商品に加工するためです。この場合、入荷時点では「仕入れ重量」で記録し、加工後に「製品個数」へ変換する二段階管理が現実的です。
惣菜やベーカリーは、原材料の在庫管理と製品の在庫管理を分けます。小麦粉や卵などの原材料はキロ単位で管理し、製造された商品は個数で管理します。完璧な原価計算は難しいため、標準原価を設定して運用します。
重要なのは、100パーセントの精度を求めないことです。生鮮食品の性質上、ある程度の誤差は不可避です。月次の棚卸しで実在庫を確認し、差異を調整すれば、監査上も十分に説明可能です。
POSレジとの連携、NetDoAとのAPI接続
寺岡精工のクラウドPOSシステム「NetDoA」を使用している場合、在庫管理システムとの連携が必須です。
NetDoAはクラウド型のPOSシステムで、各店舗の販売データをリアルタイムでクラウドに集約します。このデータをAPI経由で在庫管理システムに取り込むことで、販売による在庫減少を自動反映できます。
具体的な連携フローはこうです。まず、各店舗のPOSレジで商品が販売されると、NetDoAクラウドに販売データが蓄積されます。1日の営業終了後、在庫管理システムがNetDoAのAPIを呼び出し、当日の販売データを一括取得します。取得したデータから販売数量を抽出し、在庫数量から減算します。翌朝には前日の販売を反映した在庫数量が確認できる状態になります。
API連携のメリットは手入力が不要になることです。従来のように販売日報を手作業で転記する必要がなくなり、入力ミスも防げます。また、リアルタイムではなく日次バッチ処理とすることで、システム負荷を抑えつつ実用的な精度を確保できます。
連携時の注意点もあります。NetDoAに登録されている商品コード(PLUコード)と、在庫管理システムの商品コードを完全に一致させる必要があります。また、値引き販売や返品処理も正しく連携できるよう、データ仕様を綿密に設計します。
店舗別管理と本部集計、多店舗運営の実務
6店舗を展開するスーパーマーケットでは、各店舗で独立して在庫管理を行いながら、本部で全店の状況を把握できる仕組みが必要です。
各店舗では店長や主任が日々の入荷処理、廃棄処理、移動処理を行います。店舗ごとの商品構成や販売傾向が異なるため、各店舗が独自に在庫をコントロールできる権限が必要です。
一方、本部では全店の在庫状況を俯瞰的に見たいニーズがあります。どの店舗の在庫が多いか、どの商品のロス率が高いか、全社での在庫金額はいくらか、といった情報です。
これを実現するには、マルチテナント型のクラウドシステムが適しています。各店舗は独立したテナント(区画)として運用し、本部ユーザーは全テナントにアクセスできる権限を持つ設計です。
データ集計の粒度も重要です。本部では日次で全店の在庫サマリーを確認できれば十分で、リアルタイムの明細データまでは不要です。むしろ、週次や月次でトレンドを分析できるダッシュボード機能の方が有用です。
監査対応に必要な5つの機能
監査法人の指摘に対応するため、在庫管理システムには以下の機能が必須です。
入出庫履歴の完全記録が必要です。いつ、誰が、何を、どれだけ、入荷・出荷・廃棄したかを、すべて記録します。データの改ざんを防ぐため、一度記録したデータは削除できず、訂正履歴も残す設計にします。
日次在庫レポートの自動生成も重要です。毎日の営業終了時点での在庫数量を、商品別・店舗別に自動集計します。これが監査時の証跡となります。
棚卸機能による実在庫との突合も欠かせません。月次または週次で実地棚卸を行い、帳簿在庫と実在庫の差異を記録します。差異の原因(廃棄漏れ、入力ミス、ロスなど)も記録し、改善に繋げます。
CSV出力機能により、監査法人への資料提出がスムーズになります。任意の期間、任意の商品カテゴリーでデータを抽出し、Excel形式で提出できます。
アクセス権限管理により、内部統制を強化します。店舗スタッフは自店舗のみ、店長は自店舗の全機能、本部は全店舗という階層的な権限設定が可能です。
導入コストと投資対効果
生鮮食品の在庫管理システム導入には、どの程度のコストがかかるのでしょうか。
大手パッケージソフトの場合、初期費用は500万円から1500万円程度です。6店舗分のライセンス、サーバー構築、カスタマイズ、導入支援などが含まれます。月額保守費用は30万円から80万円程度です。
中小企業向けクラウドSaaSの場合、初期費用は50万円から300万円程度に抑えられます。クラウド型のため、サーバー構築が不要です。月額費用は店舗数に応じて15万円から40万円程度です。
NetDoAとのAPI連携開発には、別途50万円から150万円程度が必要です。既存の連携実績があるシステムなら、この費用を削減できます。
投資対効果はどう考えるべきでしょうか。直接的な効果としては、廃棄ロスの削減が期待できます。6店舗で年間売上が10億円の場合、廃棄ロス率を1パーセント削減できれば年間1000万円の効果です。
間接的な効果として、監査対応の工数削減があります。手作業での資料作成に年間100時間を要していた場合、これがほぼゼロになります。さらに、適正在庫の維持により、機会損失の削減も見込めます。
システム投資を3年で償却すると考えると、年間300万円から600万円程度の投資になります。廃棄ロス削減効果だけで十分に回収できる計算です。
実装時の典型的な失敗パターンと対策
多くのスーパーマーケットが在庫管理システム導入で失敗する理由は、現場の実態を無視した理想論に走るためです。
最も多い失敗は、すべての商品をすべてのタイミングで記録しようとすることです。理論上は正しくても、現場の負担が大きすぎて続きません。結果、データ入力が滞り、システムが形骸化します。
対策として、管理対象を段階的に拡大します。まず主力商品50SKUから始め、運用が安定してから徐々に拡大します。完璧を目指さず、80点の運用を継続することを優先します。
次に多い失敗は、現場への説明不足です。なぜ数量管理が必要なのか、どう入力すればよいのか、現場スタッフが理解していないと、適当な数字を入力されてしまいます。
対策として、導入前に十分な研修を行います。監査法人の指摘内容、在庫管理の重要性、システムの使い方を丁寧に説明します。マニュアルも現場目線で作成し、いつでも参照できるようにします。
システム選定の失敗もよくあります。機能が豊富すぎて使いこなせない、逆に必要な機能が不足している、といった問題です。
対策として、無料デモや試験導入を活用します。実際の商品で運用シミュレーションを行い、現場の感覚で使えるかを確認します。特にPOSレジとの連携部分は、実機で検証することが重要です。
導入スケジュールと段階的アプローチ
1年以内に在庫管理システムを導入するには、綿密なスケジュール管理が必要です。
第1フェーズは要件定義と商品マスタ整備で、2ヶ月を想定します。管理対象商品の選定、単位換算ルールの決定、NetDoAとの連携仕様の確定などを行います。最も重要なフェーズで、ここでの設計ミスが後々響きます。
第2フェーズはシステム構築とカスタマイズで、3ヶ月を想定します。基本機能の設定、API連携の開発、店舗別・商品別のマスタ登録などを行います。並行して操作マニュアルも作成します。
第3フェーズはテスト運用で、2ヶ月を想定します。1店舗または1カテゴリーに絞って試験運用し、問題点を洗い出します。現場からのフィードバックを受けて、必要に応じてシステムを調整します。
第4フェーズは全店展開で、2ヶ月を想定します。テスト運用で問題なければ、順次全店に展開します。一度にすべての店舗を切り替えるのではなく、週1店舗ずつ段階的に展開すると、トラブル時の影響を最小化できます。
第5フェーズは運用定着とPDCAで、残りの期間を充てます。日々の運用を通じて、入力ルールの見直し、マスタの整備、運用マニュアルの改訂などを継続的に行います。
重要なのは、完璧を期さないことです。まずは主力商品だけ、まずは1店舗だけという段階的アプローチが、結果的に成功確率を高めます。
Wikiだるまで実現するスーパーマーケット在庫管理
Wikiだるまは製造業向けの在庫管理システムですが、スーパーマーケットの生鮮食品管理にも対応可能です。
クラウド型SaaSのため、初期費用を大幅に抑えられます。6店舗での導入でも、初期費用100万円前後、月額20万円前後から実現可能です。大手パッケージの半額以下のコストで、必要十分な機能を提供します。
入荷単位から管理数量への換算機能を標準搭載しています。商品マスタに換算係数を登録すれば、箱単位やキロ単位での入荷入力が、自動的に個数に変換されます。
店舗別管理と本部集計の両立も得意分野です。各店舗は独立して在庫を管理しつつ、本部では全店横断でのデータ分析が可能です。ダッシュボードで在庫推移やロス率を視覚的に把握できます。
NetDoAとのAPI連携についても、カスタマイズ対応が可能です。日次バッチ処理での販売データ取り込み、商品コードの突合、在庫数量の自動更新などを実装できます。
CSV出力機能により、監査法人への資料提出もスムーズです。任意の期間、任意の商品カテゴリーでデータを抽出し、Excel形式で出力できます。
導入期間も比較的短く、3ヶ月から6ヶ月程度で本稼働が可能です。クラウド型のため、サーバー構築や複雑なネットワーク設定が不要です。
まとめ:監査指摘への現実的な対応策
監査法人から生鮮食品の数量管理を求められたとき、多くのスーパーマーケットは途方に暮れます。しかし、適切なシステムと運用ルールがあれば、決して不可能ではありません。
重要なのは、完璧を目指さないことです。生鮮食品の性質上、100パーセント正確な在庫管理は現実的ではありません。監査法人が求めているのも、合理的な範囲での管理です。
段階的なアプローチが成功の鍵です。まず主力商品から、まず1店舗から始めて、徐々に管理範囲を拡大します。現場の負担とのバランスを取りながら、実効性のある運用を構築します。
POSレジとの連携により、日々の販売データを自動反映できます。寺岡精工のNetDoAとAPI連携すれば、手作業での転記が不要になり、リアルタイムに近い在庫把握が可能です。
適切なシステム投資は、廃棄ロス削減という形で必ず回収できます。さらに、適正在庫の維持、発注精度の向上、内部統制の強化といった副次的効果も期待できます。
次のステップ
生鮮食品の在庫管理システム導入を検討されている方は、まず無料相談で現状をお聞かせください。
Wikiだるまなら、スーパーマーケットの実務に即した在庫管理システムを、初期費用100万円前後、月額20万円前後から構築できます。NetDoAとのAPI連携もカスタマイズ対応可能です。
無料デモでは、実際の商品データを使った運用シミュレーションも可能です。入荷単位から管理数量への換算、POSデータとの突合、店舗別・本部集計など、具体的な使い方を体験いただけます。
監査法人の指摘に、現実的なコストで対応しましょう。まずはお気軽にご相談ください。
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